2012年02月24日

卒業生たちへ

今年のヒメとヒコ公演が終わり早二週間。ゆっくりふり返る間もなく多忙に流されてしまった。毎年、卒業公演の舞台がはねた後、キャストと父兄とでささやかな乾杯をする。感動の余韻に浸りながら、また三年生はこの高校時代をふり返りながら、いつもおとなしい子たちもこの時ばかりは饒舌になる。そのスピーチを僕は楽しみにしている。それぞれの苦労や喜びをここぞとばかりにふり返り、語り合う高校生たち。みな涙と笑顔がごちゃ混ぜになっているが、その表情にはやりきった満足感が伺える。

さて、職場のスタッフにも”必要最低限の説明しかしない男”と言われているくらいの僕なので、高校生たちももっと聞きたかったことがあるだろう。僕がこれまで決して語らなかったキャスティングのことについてこれから書こうと思う。今年の3年生の中から最初にヒメ役に選ばれたハル。ケガのため半年間ヒメヒコを休まざる得なかった、決して踊りも上手いとは言えないハルを僕がヒメに選んだことについて、周囲はともかく本人さえ戸惑っていた。特にオーディションを設けないため、稽古の一日一日が試されているというある意味過酷なキャスティングレースにおいて、表には出さずともみな闘志をみなぎらせていた。僕もプロと作る舞台ならあっさりオーディションをするだろう。どんな新人だろうと、どんなに性格の悪い奴だろうと”上手い方”を選べばいいのだから簡単だ。しかしヒメヒコは違うと思っている。ヒメヒコがこれまでお客様に支持されてきたのは、三年間を共に乗り越えたキャストたちが見せる”チーム感”があり、その喜びを分かち合う姿に心を打たれるのだ。だから僕は、あえてケガをして一番ビリを走っていたハルに、当然のようにヒメ役を与えるそんな余裕あるチームを作りたいと願った。例えるならマンガ「ワンピース」のルフィ率いる麦わらの一味なら、間違いなく一番弱っているチームメイトに最高の褒美を与えるだろう。しかも、まるでそれが当たり前のように、とびっきりの笑顔を添えて。そんな最高のチームが見せる懐の深さこそが、他の何よりも人々の胸を打つエネルギーを生み出すと信じている。誰が何役をしたかという結果より、お客さんの知らない舞台裏のドラマにこだわっても良いじゃないか。この年に一度の祭りは、自分たちが成長するためにあるのだから。

今日これから、3年後に行われる国民文化祭の基本構想策定作業部会へと向かう。原口泉教授ら4名と共に、国内最大の文化の祭典に向けて準備を始める。この名誉ある任務は、これまで5年の間苦楽をともにしてきたヒメヒコの高校生が僕にプレゼントしてくれたものなのだ。さぁ、お互い次の旅に出よう。生まれた町、帰るべき場所をしっかりと胸に抱き、力強く羽ばたいてほしい。




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この記事へのコメント
おつかれさんでした。

いつか、大人(20歳以上)になったヒメヒコ出演者や、裏方さんたち、バンドメンバーらとヒメヒコ同窓会したいですね。
Posted by 森田孝一郎 at 2012年02月28日 09:15
お元気そうで何よりです。

記事に感動しました。

いつか沖縄と交流しましょう。
Posted by YM日記 at 2012年03月21日 12:25
こんにちは。お元気ですか?
生きてらっしゃいますかぁ?
そろそろ新しい記事を読みたいですよ。
気にし、、、ないで、、下さい。f( ̄ゞ ̄)
Posted by Nao美 at 2012年04月08日 00:12
 
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