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Posted by チェスト at

2010年06月08日

新しい旅

帰って計算してみると20年ぶりだった。

生まれ故郷の松山。
生家から北を仰ぎ見るといつも見えていた
松山城跡。
小高い丘は、桜の季節には
その丘自体がピンク色に染まる。
その場所にふとした気まぐれで赴いた。

登り口に立った瞬間の草いきれ。
湿った空気に溶けている緑のかおり。
自然の記憶は、僕の奥底に残っていて
あっという間に20年を取り戻してくれた。

夕暮れ前の田舎。
幼い頃見た景色が、何も変わらずそこにある。
ところどころから立ち上る煙。
畑の匂い。
鳥の声。

うっそうとした木々の中に
ひっそりとたたずむ神社も、
少年の頃の夏祭りのまんまだった。

お神輿かつぎの出発前に行われる儀式は、
神社の境内でみなが神前に正座する。
神主さんが捧げる祝詞(のりと)と、
けたたましい蝉時雨が不思議とマッチしていた。


先日お会いしたばかりの有留修さんのことを思い出した。
http://jp.ohsumi-retreat.org/index.html(大隅リトリート)
20代からのほとんどを海外で過ごした有留さんが、
故郷の大隅半島に戻ってきた時、
「その全てが宝に見えた」と語っていた。

あれほどイヤだった自分が生まれた田舎。
その全てに僕は感動していた。
東京に沖縄に、海外に探し歩いた夢の楽園が、
何も語ることなくただ、眼下に広がっていた。
ただただひっそり、お前の帰りを待っていたんだと
優しくたたずんでいた。

僕はここで何が出来るだろう。
これから時間をかけて、
僕は生まれた場所を目指す旅を
始めるのかもしれない。

  


Posted by taro at 09:18Comments(3)かごしま